先週北村美術館に行った感想を

ここの美術館はいつも展示のパンフレットの作り方が置いときたい位良いので、(今回も宗旦の瓢箪が決まっています。)
それに、そそられつつも前から行こう行こうと
思いながらもなかなかいけず
初めて行った美術館だったのですが大変良かったです。
まず建物が非常に良い。美術館と自宅兼茶室が融合してて、
美術館から見える景色が綺麗でした。紅葉してる時分に行けばもっと綺麗だと思います。
少し中に入った場所にあったので見つけるのが大変でしたが

それと展示目録と展示方法が凄く凝っていました。
目録通り見ると寄付、初座、後座と分けてあり茶会に参加した様な形になっていて
非常に良い。多分茶道具の展示としては正しい。
博物館での一つ一つが孤立した。ものではなく
茶道具としてちゃんと機能してる展示方法じゃないでしょうか

展示内容も作品数は少なかったですが、非常に豪華
永楽保全、光悦、古雲鶴疋田筒(いずれも茶碗)と
永楽保全の茶碗は太陽に鶴が羽を広げているやつで
(元ネタは探幽や若冲が描いてる絵のオリジナルからのアイデアでないかと)
実物は初めて観ました。写真で観た時は判りませんでしたが、
羽の描き込み、盛り上げて表現する所等、細かい仕事してありました。

光悦は最初作品の目録観た時ゲッと思いましたが、
作品を観ると光悦にしたら、
スカッとしてて素直に良い茶碗だなと思いました。

古雲鶴疋田筒は高麗青磁(模様は象嵌)になるのかな?独特の鼠色の様なくすんだ様な青磁でしたが。
大変美しかったです。その華やかさや、色彩の美しさデザインのシャープさでは上記二つのものには敵わないと思いますが
でもそこには、非常に美しく感じるものがありました。茶碗の形の不安定さ鶴の形にああ素直に良いなと思える。
多分ここまでいいなと思える高麗青磁は多分実物で観たのは
初じゃないでしょうか?
大阪市立東洋陶磁美術館のなら対抗できるかな?
実物は観たことないですが。

茶杓は遠州蔵帳に載っている。遠州作のものが出てました。
中央で左右パシッと色がまったく違っていて、
シャープでモダンな印象でした。

それと瓢箪の花入れも、装飾的に綺麗だとは思いませんが、
一つ完成された美しさがあって
古雲鶴疋田筒とバランス取れてるんではないでしょうか?
変に赤楽なんかと合わせない点も良いと思います。
ふと思ったんだけどこの瓢箪はどうやって保存してるんだろう。
防虫とか防湿とかしないと絶対痛むと思うんだけど、
いくら乾燥さしてるとはいえ

あと盆が良かったです。木目が綺麗でした。色も木目の形も

それと伝ですが雪舟の絵巻の断簡が出てました。
野村美術館もそうですが、個人で雪舟持てるのは驚き
というか、どこから出るんだろう。今の時代だったらありえない。

お締めの言葉 この後実は、京都市美術館へ行ったのですが、
その際文展や帝展の近代の作品の絵を観て思ったんですが、
ああいう絵と上記の茶道具はまったく合いませんね。
注意どちらが素晴らしいかという話ではありません。

世界観が違うのか。収集者は同じ時代の人なのに。
価値観が違うのか、
物の時間的経過が足りないのか、個人の美意識の問題なのか。
様式美の違いなのか。関係性の問題のなのか。
(絵は絵だけで独立して存在できるけど、
茶道具では難しい、でも逆に繋がりの中で茶道具は凄く生きるけど。絵でそれは厳しい)
理由は判りませんが、
どちらにしても、この二つを融合するのは不可能だと、
北村美術館で展示されてるものには、
仮に贋物としても相応しいのは雪舟であり、
京都市美術館に合うのは、近代の作家の絵だと、
そこに多分雪舟持ってきても、北村美術館ほどには、栄えないと思いました。

それと今回北村美術館に行って思ったのですが
個人の美術館ということで収蔵品に収集者の好みが反映されていますね。美術館の建て方もそうですが
野村美術館、北村美術館、細見美術館、泉屋博古館と
色々ありますが、全部傾向が違うなと・・・
中国趣味あり、茶室との融合あり、展示が上手い場所あり、建物が良い場所、見せ方上手
絵画に強い場所、四条派好き、琳派好き、
茶道具に強いなど個性強いなと思いました。

共通点はどこの美術館も平日行くとガラガラでしょうか?

本日の一言 行こう行こうと思いながら狩野永徳展に行けてません。混むから一週間以内に行こうと思っていたのに・・・
NHKの宣伝番組が憎い。

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